塩分を控えると糖分を多く食べるようになる!? 減塩が良くない理由を説明

記者 三山熊裕 報道

世界保健機関(WHO)では、血圧を下げ、脳卒中や冠動脈性心疾患を予防するために、成人1人当たり1日5g以下の塩分摂取量(ナトリウム摂取量2g)を推奨しています。また、心血管疾患予防のための国際的なガイドラインでは、塩分摂取量をできるだけ減らすことが推奨されています。

しかし、これまでの多くのコホート研究や臨床ランダム化試験では、塩分は食べる量を減らすほど良いものではないことがわかっています。ナトリウム摂取量と心血管イベントのリスクとの間にJカーブの関係があることを示すエビデンスが増えています。

これらの研究については、米国心臓協会から方法論的な問題が指摘されていますが、減塩食は一般の人にもメリットがあるのかという疑問があります。

最近、米国の大規模な国家研究で、低塩食が心血管イベントのリスクを高める理由として考えられることが明らかになりました。

この研究では、1日の塩分摂取量と糖分摂取量には有意な負の相関があり、その関係は塩分摂取量が最も少ない人に最も顕著であることがわかりました。つまり、塩分を減らして食べているにもかかわらず、どんどん糖分を摂っていたのです。

成人の1日のナトリウム摂取量が0.06~2.6g、2.6~3.0g、3.0~3.4g、3.4~4.0、4.0~29.3gの場合、1日の糖質摂取量はそれぞれ141.2g、118.6g、108.6g、97.9g、85.6gでした。

心代謝性合併症、体格指数、糖化ヘモグロビン、季節、調査年を補正しても、塩分摂取量と糖質摂取量の関係は明らかになりました。

ナトリウムの摂取量が減少すると、炭水化物の摂取量は増加したが、タンパク質やコレステロールの摂取量は減少しました。

心血管の健康は、塩分や糖分のほかにもいくつかの食事因子と関連しており、食事因子と心血管疾患との関係を見落としてはならないと、研究者らは指摘しています。

大規模なメタ解析では、低塩分食が血圧を下げる一方で、レニン、アンジオテンシン、カテコールアミン、コレステロール、トリグリセリドのレベルを上昇させることが示されており、これらの生理的変化が血圧低下の心血管系の利点を打ち消すかどうかについては、さらに検討する必要があります。

糖分の取りすぎは、肥満、インスリン抵抗性、冠動脈性心疾患、脂質代謝異常などのリスクを高めます。

そして、さまざまな炭水化物、脂肪、タンパク質全身の健康や心血管系の健康に与える影響は、まったく逆の場合もあります。

研究者らは、心血管疾患とこれらの食事因子との関係をよりよく理解するためには、食事の特徴とすべての食事因子間の相互作用を慎重に分析するように設計された今後の研究が必要であると考えています。

記者 三山熊裕 報道

医療業界を志望する人に求められること

AIに「仕事を奪われる」ということもよく話題になる医療業界。手術はロボット化が進み、診断はAIが最適解を提示してくれる。そんな時代になるかも知れません。それを踏まえて、患者さんやコメディカルとのコミュニケーション能力や、諸問題に臨機応変に対応できる柔軟さが必要といわれています。それは医師や看護師だけでなく、医療機器関係者、製薬・医薬品関係者、介護関係者など医療業界に携わるすべての人に求められるスキルです。

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また私自身の職種である医師について語ると、これまで一般的な医師は「スペシャリスト」だと思われていましたが、実際は「ジェネラリスト」的な働き方をしていました。医局に命じられて転勤し、人材の足りない病院の穴埋めをし、専門家とはいえないような雑多な仕事をする。専門知識が生かせるのは、ごく一部の病院か、大学病院に戻ったときだけというわけです。

しかしこれからの時代、わたしは医療に関わる人は誰もが本当の「スペシャリスト」であるべきだと思っています。自分の舵取りは自分でやり、人に負けない、専門的な強みを生かしていく必要があります。また、高齢化のすすむ日本では、今までよりも総合診療は重要になっていくと思われ、総合医療の「スペシャリスト」の活躍が求められるようになるかもしれません。柔軟性や先見性を持ちつつも、「誰にも負けない専門性」を兼ね備えた人材が、今後、医療だけに限らず日本の社会で活躍できるのではないかと思っています。

WEBサイトやブログによる業界研究もいいですが、書籍による研究もおすすめです。

若い健康な方々にとって医療業界は普段から慣れ親しんだ業界とは言えないでしょう。また、臨床現場や在宅医療、介護や福祉など、守備範囲が広いだけでなく、難解単語や専門用語が飛び交う少しとっつきにくい業界です。インターネットで流し読みするよりも、書籍をじっくり読み込むことで業界の仕組みやトレンドを把握することが可能です。最近ではマンガを使って分かりやすく解説してくれている書籍もあるので、まずは試しに読んでみてください。それでは医療業界研究におすすめの書籍をご紹介します。

少子高齢化の真っただ中にある日本の中で、今後ますますニーズと関与者が拡大する医療業界。専門性が高く、網羅する分野も広いため決して楽な業界ではありませんが、その分、やりがいと達成感、そしてチャレンジ精神にあふれた業界です。業界の動向や情報を集め、よく調べ、よく知ったうえで、ぜひ志望してみてください。あなたの力を発揮する場所がきっとあります。